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ハイド米下院外交委員長の靖国批判 [靖国問題]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」からの転載です。


 朝日新聞(ネット版、13日付)によると、6月に予定される小泉首相の訪米に関連して、アメリカ下院のヘンリー・ハイド外交委員長(共和党)は4月下旬、アメリカ議会で首相演説を実現するには「靖国神社を参拝しないことを表明する必要がある」という主旨の書簡をデニス・ハスタート下院議長に提出していたようです。
 http://www.asahi.com/politics/update/0513/006.html
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 書簡の詳細な中身についてはハイド委員長もハスタート議長も明らかにしていないようです(15日、ロイター電)が、朝日の記事によれば、首相演説は歓迎だが、演説の数週間後に東条英機元首相らを合祀する靖国神社に首相がお詣りすれば、米議会のメンツをつぶすことになるし、真珠湾攻撃を記憶している世代は侮辱されたとすら思うだろう、とハイド議員は主張しているようです。

 これに対して、安倍官房長官は、16日の記者会見で、「そもそもアメリカ議会で演説するという予定はない」「多くの議員は信仰の自由の観点から、そのような観点からの批判はしていないのではないか」と反論した、と16日づけの日経新聞が伝えています。
 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060516NTE2IEC0216052006.html

 一方、お隣の韓国は、政府の公式ウエブサイトであるコリア・ネットで、「小泉参拝に対する鋭い批判がアメリカでわき上がった。日本を太平洋戦争に導いた主導者たちを讃美することへの強い関心がアメリカの下院議員によって表明された」として、朝日新聞を引用しています。
 http://www.korea.net/news/news/newsview.asp?serial_no=20060515001

 ハイド委員長は第二次大戦の生き残りで、フィリピン海戦などに参戦したことがあり、以前にも、小泉参拝を批判する書簡を加藤良三駐米大使に送り、靖国神社を「軍国主義の象徴」と指摘したと伝えられています。その前には、ハイド委員長のもとでアメリカの議会史上初めて、「太平洋戦争当時の日本の軍国主義」を批判する決議案が上程されました。このときは事実上、取りやめになったと伝えられますが、終戦から60年を経たいま、いったい何をおっしゃりたいのでしょうか。

 歴史を振り返れば、アメリカ政府は戦争中から、「国家神道」こそが「軍国主義・超国家主義」の主要な源泉である、と考えていたといわれます。敗戦後、アメリカ国務省の高官は占領政策をラジオでアメリカ国民に説明し、「日本政府に指導され、強調された神道ならば廃止されるだろう」と述べ、これを「神道の特権廃止」と伝えるAP電を、朝日新聞は載せています。

「国家神道」の中心施設と考えられていた靖国神社では遊就館の業務が停止し、神社の焼却があちこちで噂になりました。アメリカ政府はGHQ民間情報教育局(CIE)に「国家神道は廃止すべきだが、民間信仰の対象としての神道は残してもいい」と訓令していたものの、CIEの大勢は「神道撲滅」を強硬に主張していたといわれます。

 朝日新聞の系列会社から発行された『マッカーサーの涙──ブルーノ・ビッテル神父にきく』(朝日ソノラマ、1973年)によると、そのころマッカーサーから上智大学のビッテル神父のもとにメモが届きました。「司令部の将校たちは靖国神社の焼却を主張している。キリスト教会は賛成か反対か」というのです。

 ビッテル神父はこう答えます。

「いかなる国家も、国家のために死んだ人々に対して敬意を払う権利と義務がある。それは戦勝国か敗戦国かを問わず、平等の真理でなければならない。
 もし靖国神社を焼き払ったとすれば、その行為はアメリカ軍の歴史にとって不名誉きわまる汚点となって残るだろう。靖国神社が国家神道の中枢で、誤った国家主義の根源であるというなら、排除すべきは国家神道という制度であり、靖国神社ではない。
 いかなる宗教を信仰するものであれ、国家のために死んだものは、すべて靖国神社にその霊をまつられるようにすることを進言する」

 マッカーサーはこの進言を受け入れ、靖国神社は守られたのです。

タグ:靖国問題
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