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あえて考える天皇陛下のフィリピン御訪問 ──法的根拠はない!? [皇室外交]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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あえて考える天皇陛下のフィリピン御訪問
──法的根拠はない!?
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 今上陛下は皇后陛下を伴われ、1月下旬、フィリピンを公式御訪問された。

 今回のご旅行は、公式にはフィリピン大統領の招請を受け、国交正常化60年を機会として、友好親善を目的とするものとされている(昨年12月閣議決定)。


▽1 公式御訪問というより「慰霊の旅」
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 けれども一般には、むしろ陛下の御意思にもとづく、戦後70年を契機とする「慰霊の旅」と受け止められている。

 陛下はマニラ英雄墓地にある「無名戦士の墓」やカラリアの「比島戦没者の碑」で供花、黙祷され、日本人遺族と親しく交流されたが、いずれも陛下ご自身のご希望によるものと伝えられている。

 陛下はご出発前、空港で、「フィリピンでは,先の戦争において,フィリピン人,米国人,日本人の多くの命が失われました。中でもマニラの市街戦においては,膨大な数に及ぶ無辜のフィリピン市民が犠牲になりました。私どもはこのことを常に心に置き,この度の訪問を果たしていきたい」と語られた(宮内庁HP)。

 マラカニアン宮殿での晩餐会でも、「昨年、私どもは,先の大戦が終わって70年の年を迎えました。この戦争においては,貴国の国内において日米両国間の熾烈しれつな戦闘が行われ,このことにより貴国の多くの人が命を失い,傷つきました。このことは,私ども日本人が決して忘れてはならないことであり,この度の訪問においても,私どもはこのことを深く心に置き,旅の日々を過ごすつもりでいます」とスピーチされた(同)。


▽2 一様に好意的な報道

 フィリピン政府は5日間の陛下の旅が「歴史的快挙」だとする声明を発表している。多くのフィリピン人の胸に響いたことは間違いないだろう。

 陛下の慰霊の旅は、サイパン、パラオに次ぐものだが、陛下が海外にお出かけになり、諸外国と友好親善を深めるのみならず、戦争の歴史を記憶に留め、自国のみならず旧敵国の戦没者を慰霊されることについて、メディアの反応もきわめて好意的である。

 皇位継承問題やいわゆる「女性宮家」創設問題で、メディアの論調が二分されたのとは大きく異なっている。

 したがって、そこには一点の曇りもないかのように見えるのだが、はたしてそうなのであろうか。むしろ皇室の伝統と憲法の規定をめぐる、避けてはならない重要な課題が隠されているのではないだろうか。

 昨年来の安保法案論議に見られるように、憲法9条をめぐっては、1ミリたりとも逸脱してはならないという嵐のような議論が巻き起こるのに、天皇の外国御訪問については寂として声無しというのは健全とはいえないのではないか。


▽3 憲法は予定していない

 つまり、憲法は天皇の国事行為について規定しているものの、すべて内向きであって、「慰霊の旅」はむろんのこと、「国際親善」を目的とする外国御訪問についてすら、規定はいっさいない。憲法は天皇の外国御訪問を予定していないのである。

 とすれば、陛下のご公務として行われている「慰霊の旅」はいかなる法的根拠を持つものなのか。

 女系継承容認問題にしても、「女性宮家」創設問題にしても、有識者による諮問会議が設けられ、ヒアリングが行われながら、じつのところ、天皇のご公務とは何か、という根本的な議論がすっぽりと抜け落ちていたと私は考えている。

 もし法的な根拠はないけれども、天皇による外国御訪問が、あるいは「慰霊の旅」が、ご公務の1つとして、外交上、必要だと国民が理解し、求めるのならば、明文規定のない現行憲法は改正されるべきではないだろうか。

 ということで、しばらく天皇の外国御訪問について、検討してみたい。歴史的に最初のケースとなった、昭和46(1971)年の昭和天皇のヨーロッパ御訪問にさかのぼって検証してみようと思う。
タグ:皇室外交
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