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対象者で7つに分類できる陛下の「お茶・茶会」 ──ご公務ご負担軽減を検討しなかった有識者会議? 2 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年5月19日)からの転載です


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対象者で7つに分類できる陛下の「お茶・茶会」
──ご公務ご負担軽減を検討しなかった有識者会議? 2
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 有識者会議の資料をもとに、陛下のご公務ご負担について、分析を続ける。
御活動の概況と推移.png

 有識者会議最終報告の「参考資料」にある「天皇陛下のご活動の概況及び推移」(70ページ)によれば、今上陛下の場合、平成3年、57歳時の「お茶・茶会」が26件だったのに、27年、82歳時には57件となり、25年間で31件も増えている。2.2倍という激増ぶりである。

 前回は、公表されている陛下の「ご日程」から「お茶・茶会」を拾い上げたが、これをグループ分けしてみる。

 まず、平成3年、今上陛下57歳時の「お茶・茶会」である。有識者会議の資料では26件だが、公表データで確認できるのは24件である。対象者によって、〈1〉認証官、〈2〉帰朝大使夫妻、〈3〉外国大使夫妻、〈4〉外国要人、〈5〉国内学術・芸術功労者、〈6〉外国ご訪問関連、〈7〉その他、に分類できそうである。


▽今上陛下57歳時の「お茶・茶会」

〈1〉退官認証官 計4件
 お茶(退官認証官)(宮殿) 4件[1月22日(火)天皇陛下。2月5日(火)天皇陛下。12月6日天皇陛下。12月13日(金)天皇陛下。]

 憲法7条に定められる国事行為の第五号に官吏の任免のことが掲げられている。国事行為とされる認証時の認証官任命式に対応するものであろう。陛下おひとりのご公務であることが注目される。

 昭和期には行われていたものなのかどうか、比較が必要だが、残念ながら昭和期の公表データがない。12月6日には同日に帰朝大使夫妻のお茶も行われている。12月に2週続けてお茶が行われたことにも注目したい。1度に行うことはできないものなのか。

〈2〉帰朝大使夫妻 計3件
 お茶(帰朝大使夫妻)(宮殿) 3件[1月25日(金)天皇皇后両陛下(ドイツ,マレーシア,リベリア,コートジボワール)。5月14日(火)天皇皇后両陛下(ニュージーランド,ポルトガル,チュニジア,ベトナム)。12月6日(金)天皇皇后両陛下(モンゴル,ネパール,リビア,ボリビア)]

 全権委任状、大使・公使の信任状を認証することは天皇の国事行為であり、これに対応するものであろう。

〈3〉外国大使夫妻 4件
 お茶(新任外国大使夫妻)(宮殿) 4件[2月8日(金)天皇皇后両陛下(ドミニカ共和国,コスタリカ,ルーマニア,エルサルバドル,ヨルダン,モロッコ,オーストリア)。5月7日(火)天皇皇后両陛下(フランス,大韓民国,ペルー)。9月6日(金)天皇皇后両陛下(メキシコ,ブルガリア,タンザニア,パプアニューギニア,インドネシア,タイ,ミャンマー,ガボン)。12月12日(木)天皇皇后両陛下(ベネズエラ,デンマーク,キューバ,ネパール,バングラデシュ,コートジボワール,シンガポール,ニカラグア,カタール,ブラジル)。]

 憲法が定める国事行為に、「外国の大使及び公使を接受すること」とあり、信任状捧呈式は国事行為とされる。これに対応するものであろう。

〈4〉外国要人 計3件
1 お茶(世界保健機関事務局長)(赤坂御所) 1件[4月1日(月)天皇陛下。] 
2 お茶(スリランカ前大統領夫妻)(赤坂御所) 1件[4月30日(火)天皇皇后両陛下。]
3 お茶(英国王族マイケル王子殿下)(赤坂御所) 1件[6月1日(土)天皇皇后両陛下。]

 憲法上は外国大使・公使の接受以外、外交関連の国事行為は既定がないが、国際親善を目的に、来日した国賓のための公式晩餐、その他外国要人、在京外国大使などのためのご引見、午餐などが行われており、これに準ずるものであろう。宮殿ではなく、お住まいの御所で行われていることに注目したい。

〈5〉国内学術・芸術功労者 計6件
1 お茶(日本芸術院賞受賞者,新会員)(宮殿) 1件[6月3日(月)天皇皇后両陛下。]
2 お茶(日本学士院賞受賞者,新会員)(宮殿) 1件[6月10日(月)天皇皇后両陛下]
3 お茶(新指定重要無形文化財保持者)(赤坂御所) 1件[6月27日(木)天皇皇后両陛下。]
4 お茶(日本芸術院第一部会員)(赤坂御所) 1件[7月5日(金)天皇皇后両陛下。]
5 お茶(日本院学士〈ママ〉第一部会員)(赤坂御所) 1件[7月9日(火)天皇皇后両陛下。]
6 お茶(文化勲章受章者,文化功労者等)(宮殿) 1件[11月5日(火)天皇皇后両陛下]

 国事行為には「栄典を授与すること」とあり、勲章親授式は国事行為とされるが、学芸を重んじてきたことは皇室の伝統でもある。宮殿で行われる場合と御所で行われる場合がある。

〈6〉外国ご訪問関連 計3件
1 お茶(外国ご訪問首席随員始め)(宮殿) 1件[9月13日(金)天皇皇后両陛下。]
2 お茶(ご訪問3か国関係友好親善団体役員)(宮殿) 1件[9月17日(火)天皇皇后両陛下。] 
3  茶会(タイ,マレーシア,インドネシアご訪問関係者)(宮殿) 1件[10月31日(木)天皇皇后両陛下]

 平成3年9月26日から10月6日にかけて、陛下は皇后陛下とともに、タイ、マレーシア、インドネシアを訪問された。このときの随員・関係者と交流を図られたものであろう。ただ、憲法上、天皇には、外国大使・公使の接受以外、外交上の権能はない。

〈7〉その他 計1件
 拝謁・お茶(衆議院,参議院の役員)(宮殿) 1件[4月8日(月)天皇陛下。]

 衆参両院正副議長、特別委員長、憲法審査会長らとお会いになったものらしい。第120回通常国会の会期中だった。拝謁を伴っていることが注目される。


▽「全身全霊の務め」の結果か

 以上、平成3年、今上陛下57歳時の「お茶・茶会」(実際は「お茶」のみ)は24件(有識者会議最終報告の参考資料では26件)。昭和33年、昭和天皇57歳時の3件、58年、82歳時の4件に比べて格段に多い。これはなぜなのか。

「お茶」は憲法の国事行為と関連があるとはいえ、ご公務それ自体に直接的な法的根拠があるわけではない。昨夏の陛下のお言葉にあるように、陛下が「全身全霊をもって象徴の務めを果たして」こられたことの結果と解すべきなのかどうか。外国要人の場合は要請を受けてのものなのかどうか。

 陛下のご発案だとしたら、宮内庁当局はどのように関わったのだろうか。ご発案だけということは考えにくい。ご発案ではないのだとしたら、どのような目的と経緯で「お茶・茶会」は始まったのだろうか。

 次回は、平成27年、陛下82歳時の「お茶・茶会」を分析する。3年との比較もしてみたい。

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