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「今上陛下は何代目か?」 ──「1.5代」象徴天皇制度下の創設論 2 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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「今上陛下は何代目か?」
──「1.5代」象徴天皇制度下の創設論 2
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 やむにやまれぬ思いから、たった1人で、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンをネットで始めました。誰もやろうとしないなら自分で始めるほかはありません。皆様、ご協力のほどよろしくお願いします。

 先週、国会では今上天皇の譲位を認める皇室典範特例法が成立しました。これによって、御代替わり諸儀礼の正常化はいよいよ待ったなしとなりました。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

「女性宮家」創設の議論も案の定、再燃しました。こちらも目が離せません。

 ということで、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第2章 有識者ヒアリングおよび「論点整理」を読む

第3節 「1.5代」象徴天皇制度下の創設論──戦後行政史を追究しない百地章日大教授の反対論


▽2 「今上陛下は何代目か?」
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 たとえば、数年前、政府関係者として初めて公に「女性宮家」創設を提唱し、以後、たびたび表明してきた渡邉允前侍従長(いまは元職)は、昭和天皇は在位の途中からだが、今上天皇は最初から、「象徴天皇制度」の下での「象徴天皇」だ、という理解を示しています。

 渡邉前侍従長に限りません。23年6月の参院決算委員会で

「今上陛下は何代目か?」

 と質問された枝野幸男内閣官房長官(当時)が

「存じ上げません」

 と答えたことが話題になりました。「無知」を冷笑する保守派は少なくありませんが、現行憲法下での行政なら、あえて「知る」必要はないでしょう。「無知」は私にはむしろ確信的に聞こえます。

 もし「125代」の立場なら、歴史的な枠組みから天皇・皇室制度を考えなければなりません。けれども、現行憲法下での「1.5代」の「象徴天皇制度」なら、歴史にない「女性宮家」創設も、悠久なる天皇の歴史とは無関係に、進めることができます。

「陛下の御公務」=「皇室の御活動」の維持を目的とする今般の皇室制度改革も、現行憲法を出発点として考えればすむことになります。

 つまり、

「およそ禁中の作法は神事を先にし、他事を後にす」(順徳天皇「禁秘抄(きんぴしょう)」)

 と歴代天皇が信じ、実践してこられた祭祀王たる、125代続く歴史的天皇から、

「天皇の地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」

 と定める現行憲法的な「1.5代」象徴天皇への、いわゆる正統性の中断が、行政の実務において行われています。それはいつ、どのように行われたのか、です。

 しかしながら百地先生は、現代史には格別の関心がないのかもしれません。いや、本当にそうなのでしょうか?

 たとえば、24年3月2日づけ産経新聞「正論」欄に、「男系重視と矛盾する『女性宮家』」と題する百地先生の一文が載りました。この文章は、渡邉前侍従長の皇統問題「棚上げ」論の危険性を指摘するなど、ヒアリングで述べられたエッセンスが見いだせます。

 とくに注目されるのは、百地先生が

「問題の発端は、羽毛田信吾宮内庁長官が野田(佳彦)首相に対して、陛下のご公務の負担軽減のためとして、『女性宮家』の創設を要請したことにある」

 と断定していることです。

 羽毛田長官が要請したという理解は、23年11月25日の「『女性宮家』の創設検討 宮内庁が首相に要請」と題された読売新聞の「スクープ」に基づくものでしょうが、誤報でしょう。

 第1章で述べたように、「長官が要請」を長官自身が「強く否定」しています。「長官が要請」なら、「宮内庁が要請」の見出しは不自然です。

 しかし、誤報なら、宮内庁は抗議すべきです。そうしないのは、せっかく火がついた「女性宮家」創設論議にブレーキをかけたくないからでしょう。宮内庁関係者が提唱者である事実は間違いないのでしょうから。

 ともかくも、もともとメディアの報道ですから、「……と伝えられる」ぐらいに留めればいいものを、百地先生は言い切ってしまっています。ほかに確証があるのか、それとも事実の追究もしくは追及の甘さでしょうか?

 いや、そんなはずはない、と根っから疑い深い私は、先生の代表的な著書『政教分離とは何か──争点の解明』を紐解いてみることにしました。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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