「国民主権」が根拠──なぜ有識者に意見を求めるのか? 7 [女性宮家創設論]
以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です
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「国民主権」が根拠
──なぜ有識者に意見を求めるのか? 7
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私は運動家ではありませんが、日本の現状と行く末を心から憂い、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを、1人で始めました。このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を求めます。
〈https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB〉
さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。
第3章 伝統を拒絶する官僚たちの暴走
第1節 なぜ有識者に意見を求めるのか?──依命通牒の「破棄」
▽7 「国民主権」が根拠

すでに述べたように、国会図書館には、依命通牒が掲載された、昭和22年当時の『宮内府関係法令集』が所蔵されています。
また、現行の『宮内庁関係法規集』が「平成19年11月1日現在」版から「平成24年11月1日現在」版まで、計6冊、所蔵されていますが、これらには依命通牒は掲載されていません。
宮内庁HPに掲載されている「関係法令」も同様です〈http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/kunaicho/hourei.html〉。
多くの人に気づかれることなく、どうやら宮内庁職員さえ知らないあいだに、いつの間にか、消えたのです。まるでミステリーです。
依命通牒に記された、基準とすべき「従前の例」が反故にされた以上、125代にわたる皇室の長い歴史と伝統に代わって、新たな基準がなければなりません。
根本的基準が憲法の「国民主権」「象徴天皇」にあることは明らかです。
御代替わりにおいて、小泉内閣時代の皇室典範有識者会議において、そして「女性宮家」有識者ヒアリングにおいて、
「象徴天皇制度のもとで」
と繰り返し強調されているのは、その意味と理解されます。
そして政府は、「皇室の伝統」と「憲法の趣旨」とを対立的にとらえ、皇室の伝統行事のうち、伝統のままに行うことが現行憲法の趣旨に反すると考えるものは、国の行事ではなく皇室行事とされ、皇室の伝統が破られました(『平成大礼記録』宮内庁など)。
小泉内閣の皇室典範有識者会議では、「伝統」の尊重が「基本的な視点」のひとつに置かれましたが、あくまで戦後60年の「1.5代」象徴天皇制度の伝統というべきでした。報告書の「はじめに」には、
(1)さまざまな天皇観があるから、さまざまな観点で検討した
(2)世論の動向に合わせて検討した
と説明されていますが、皇室自身の天皇観、皇室にとっての継承制度という視点、天皇は祭り主であるという観点は、見当たりません。
国民の名において、政府の責任で何でもできる。むろん皇族方の意見を聞く必要もないというのがヒアリングの本質かも知れません。
実際、有識者会議は皇族方の意見に耳を傾けようとしないどころか、女系継承容認に憂慮の念を示された寛仁(ともひと)親王殿下に対して、吉川弘之座長(元東大総長)は
「どうということはない」
とうそぶき、皇族方を守るべき立場のはずの羽毛田長官は、
「皇室の方々は発言を控えていただくのが妥当」
と口封じに及びました。
側近中の側近である羽毛田長官こそは皇室改革の急先鋒で、18年9月、国民が待望した悠仁(ひさひと)親王殿下のご誕生に、
「皇位継承の安定は図れない」
と水を差しました。16年7月の参院選のマニフェストに女性天皇容認方針を掲載した民主党が21年8月の衆院選で圧勝し、政権を取ると、皇室典範改正に取り組むよう鳩山新内閣に要請する意向を表明し、秋波を送りました。
その鳩山内閣は同年暮れ、習近平中国副主席の「ゴリ押し」特例天皇会見(正確には「ご引見」)を強行しました。日本の最高権威であり、それゆえ現実の権力政治から超然たる地位にあるべき天皇が、「ポスト胡錦涛」の権力闘争を展開していた習近平サイドに政治利用されることを、「国際親善」の名目で許したのです。
民主党政権下で進められる皇室制度改革こそ、歴史的天皇から逸脱する、現行憲法を起点とする天皇の名目化でしょう。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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「国民主権」が根拠
──なぜ有識者に意見を求めるのか? 7
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私は運動家ではありませんが、日本の現状と行く末を心から憂い、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを、1人で始めました。このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を求めます。
〈https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB〉
さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。
第3章 伝統を拒絶する官僚たちの暴走
第1節 なぜ有識者に意見を求めるのか?──依命通牒の「破棄」
▽7 「国民主権」が根拠

すでに述べたように、国会図書館には、依命通牒が掲載された、昭和22年当時の『宮内府関係法令集』が所蔵されています。
また、現行の『宮内庁関係法規集』が「平成19年11月1日現在」版から「平成24年11月1日現在」版まで、計6冊、所蔵されていますが、これらには依命通牒は掲載されていません。
宮内庁HPに掲載されている「関係法令」も同様です〈http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/kunaicho/hourei.html〉。
多くの人に気づかれることなく、どうやら宮内庁職員さえ知らないあいだに、いつの間にか、消えたのです。まるでミステリーです。
依命通牒に記された、基準とすべき「従前の例」が反故にされた以上、125代にわたる皇室の長い歴史と伝統に代わって、新たな基準がなければなりません。
根本的基準が憲法の「国民主権」「象徴天皇」にあることは明らかです。
御代替わりにおいて、小泉内閣時代の皇室典範有識者会議において、そして「女性宮家」有識者ヒアリングにおいて、
「象徴天皇制度のもとで」
と繰り返し強調されているのは、その意味と理解されます。
そして政府は、「皇室の伝統」と「憲法の趣旨」とを対立的にとらえ、皇室の伝統行事のうち、伝統のままに行うことが現行憲法の趣旨に反すると考えるものは、国の行事ではなく皇室行事とされ、皇室の伝統が破られました(『平成大礼記録』宮内庁など)。
小泉内閣の皇室典範有識者会議では、「伝統」の尊重が「基本的な視点」のひとつに置かれましたが、あくまで戦後60年の「1.5代」象徴天皇制度の伝統というべきでした。報告書の「はじめに」には、
(1)さまざまな天皇観があるから、さまざまな観点で検討した
(2)世論の動向に合わせて検討した
と説明されていますが、皇室自身の天皇観、皇室にとっての継承制度という視点、天皇は祭り主であるという観点は、見当たりません。
国民の名において、政府の責任で何でもできる。むろん皇族方の意見を聞く必要もないというのがヒアリングの本質かも知れません。
実際、有識者会議は皇族方の意見に耳を傾けようとしないどころか、女系継承容認に憂慮の念を示された寛仁(ともひと)親王殿下に対して、吉川弘之座長(元東大総長)は
「どうということはない」
とうそぶき、皇族方を守るべき立場のはずの羽毛田長官は、
「皇室の方々は発言を控えていただくのが妥当」
と口封じに及びました。
側近中の側近である羽毛田長官こそは皇室改革の急先鋒で、18年9月、国民が待望した悠仁(ひさひと)親王殿下のご誕生に、
「皇位継承の安定は図れない」
と水を差しました。16年7月の参院選のマニフェストに女性天皇容認方針を掲載した民主党が21年8月の衆院選で圧勝し、政権を取ると、皇室典範改正に取り組むよう鳩山新内閣に要請する意向を表明し、秋波を送りました。
その鳩山内閣は同年暮れ、習近平中国副主席の「ゴリ押し」特例天皇会見(正確には「ご引見」)を強行しました。日本の最高権威であり、それゆえ現実の権力政治から超然たる地位にあるべき天皇が、「ポスト胡錦涛」の権力闘争を展開していた習近平サイドに政治利用されることを、「国際親善」の名目で許したのです。
民主党政権下で進められる皇室制度改革こそ、歴史的天皇から逸脱する、現行憲法を起点とする天皇の名目化でしょう。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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