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「切り離し」は不可能 ──改革の本質は官僚たちの延命策? 4 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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「切り離し」は不可能
──改革の本質は官僚たちの延命策? 4
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 拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第3章 伝統を拒絶する官僚たちの暴走

第4節 改革の本質は官僚たちの延命策?──絶対に消えない「女性宮家」創設論の火種


▽4 「切り離し」は不可能
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 くどいようですが、政府が「皇室制度」改革を進める目的は、「皇室の御活動」の維持でした。平成24年2月、有識者ヒアリングを前にして、政府は、実施の趣旨について、こう説明していました。

「現行の皇室典範の規定では、女性の皇族が皇族以外の方と婚姻された時は皇族の身分を離れることとなっていることから、今後、皇室の御活動をどのように安定的に維持し、天皇皇后両陛下のご負担をどう軽減していくかが緊急性の高い課題となっている」〈http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koushitsu/yushikisha.html

 これはきわめて論理性に欠けた文章です。なぜそんな文章を堂々と載せているのか、そこにポイントがありそうです。

 キーワードは「皇室の御活動」で、より端的にいえば、「天皇陛下の御公務」であり、「天皇皇后両陛下のご負担軽減」のため、御公務を女性皇族にも「御分担」いただくというのが、政府が考える最大の目的である、と園部逸夫内閣参与は繰り返し説明しました。

 政府が説明するように、「皇室の御活動」に関するヒアリングだとすれば、そのように命名すればいいものを、なぜ「皇室制度に関するヒアリング」と称さなければならないのか、まったくもって不可解です。

 そして、6回の有識者ヒアリングを踏まえた「論点整理」で、

「象徴天皇制度の下で、皇族数の減少にも一定の歯止めをかけ、皇室の御活動の維持を確かなものとするためには、女性皇族が一般男性と婚姻後も皇族の身分を保持しうることとする制度改正について検討を進めるべきであると考える」

 という理屈で、皇室典範改正による「女性宮家」創設がいよいよ打ち出されました。

 つくづくおかしいと思うのは、「皇室の御活動」というのは、天皇の国事行為は別として、制度的なものではないからです。

 宮内庁は、春秋の叙勲に伴う拝謁や内外大使らのご引見の多さを気にしていますが、憲法が定める天皇の国事行為は、栄典の授与、外国大使・公使の接受であり、拝謁やご引見ではありません。憲法第4条は

「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ……」

 とさえ明言されています。

 ましてや皇族方の場合、「論点整理」に添付された参考資料にはそれぞれの「御活動」が詳しく説明され、「総裁職など」の肩書きが列記されていますが、これらは制度上の御公務としてお務めなのではありません。

 それなのに、「皇室制度有識者ヒアリング」と銘打ったところに、すでに作為がある、と疑わざるを得ないのです。

 政府は「皇室の御活動」維持のため、そして「陛下のご負担」軽減のために、皇室典範改正が必要だというのですが、皇室典範は主として皇位継承に関する法律なのであって、「皇室の御活動」に関する法律ではありません。

 政府が改正をもくろむ、第12条「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」を含む、皇室典範の第2章は、「皇族」に関する取り決めであって、皇位継承問題と密接に結びついています。

 皇族とは、皇統に連なり、皇位継承資格を有する血族の集まりだからです。であればこそ、皇室典範に定めがあるのです。

 ところが、「女性宮家」創設を提唱する政府関係者はそのようには説明していません。

「女性宮家」創設を政府関係者として最初に明確に提唱し、たびたび公言してきたのは渡邉允前侍従長(いまは元職)で、「皇統論議」棚上げ論も前侍従長の提案でした。

 前侍従長は著書『天皇家の執事』の文庫版後書きでも棚上げを勧めていました。

 その後、スタートした有識者ヒアリングも、皇位継承問題との「切り離し」が念押しされました。

 しかし、「切り離し」などできるはずもないのです。

 繰り返しになりますが、皇族とは本来、皇統に連なり、皇位継承の資格を持つ血族の集まりを意味し、それについて規定するのが皇室典範第2章であって、第2章を改正することは皇位継承問題そのものに関わります。

 そんなことは基本中の基本であって、渡邉前侍従長や政府関係者が理解できないはずはないでしょう。だから、おかしいのです。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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