SSブログ

祭祀が存続できた法的根拠は何か? ──依命通牒の「廃棄」をご存じない? 6 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
祭祀が存続できた法的根拠は何か?
──依命通牒の「廃棄」をご存じない? 6
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第4章 百地章日大教授の拙文批判に答える

第2節 依命通牒の「廃棄」をご存じない?


▽6 祭祀が存続できた法的根拠は何か?

koukyo01.gif
 先生は拙文批判のなかで、宮中祭祀の戦後史について、こう説明しています。

「政府が『皇室祭祀』そのものについて『一貫して否定的態度だった』などとは筆者(百地先生)はひとこともいっていない。それどころか、政府や宮内庁当局が神道指令下にあって、皇室祭祀をお守りすべく必死の努力をしてきたことを紹介しているではないか。
 そして、そのためのいわば方便として使われたのが『皇室祭祀』=『皇室の私事』論であった。つまり、『皇室祭祀』は、『皇室の信仰』に関わるものだから、占領軍といえども干渉すべきでない、との立場を敢えて取ってきたわけである。このようなことは、我々にとっていわば常識に属する。
 ところが、そのような状況の中で迎えたのが御代替わり、つまり昭和天皇の崩御と今上陛下のご即位であった。(以下略)」

 前半部分は私が以前から何度も繰り返してきたことであって、私にとっても常識です。「文藝春秋」平成24年2月号に掲載された永田元掌典補インタビュー(聞き手は私です)でも取り上げています。

 ならば、です。

 昭和20年暮れに過酷な内容の神道指令が出されました。宮中祭祀は「皇室の私事」として存続することとなりました。祭祀に携わる掌典職は国家機関ではなくなり、職員は内廷費で雇われる私的使用人という立場になりました。占領軍は「皇室の私事」としての宮中祭祀には干渉しませんでした。その後、22年5月の日本国憲法の施行に伴い、皇室祭祀令は廃止され、宮中祭祀の法的根拠は失われました。

 けれども、宮中祭祀は存続しました。26年の貞明皇后の御大喪は旧皇室喪儀令に準じて行われています。そのようにできた根拠は何だとお考えなのでしょうか。旧皇室令が廃止されてもなお、国家機関が関与して祭祀を存続させるには、法的根拠が必要です。

 たとえば、陛下に代わって、侍従に宮中三殿内で拝礼させる毎朝御代拝は、占領中も、社会党政権時でさえ、存続しました。侍従は特別職の公務員です。侍従が「皇室の私事」とされる祭祀に従来通り関与できた行政上の根拠は何でしょうか?

 先生が仰せの

「政府や宮内庁当局が神道指令下にあって、皇室祭祀をお守りすべく必死の努力」

 こそ、まさに依命通牒第3項だったのではありませんか?

 行政にとっての「必死の努力」は精神論ではあり得ません。法学者なら、まったく法的根拠なしに、公務員たる侍従が祭祀に関与していたとは、ふつうは考えないはずです。現代を代表する法学者であるはずの先生が、依命通牒に関心を持とうとしないのはなぜなのか、私にはまったく不思議というほかはありません。

「女性宮家」創設提唱者にではなくて、私に対して牙をむくのと同様、大きな謎です。私には、逆に提唱者を必死でかばっているようにさえ見えます。先生は賛成派ではなかったはずなのに、です。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


☆ひきつづき「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンへのご協力をお願いいたします。このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を求めます。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。