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近代、キリスト教のパトロンだった皇室 [キリスト教]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年12月25日火曜日)からの転載です


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斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」vol.11
第11回「近代、キリスト教のパトロンだった皇室」─海外文化受容の中心─
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▼社会的支援を受けてきた近代の教会

 12月23日は天皇誕生日で、25日はキリストの誕生を祝うキリスト教の祝祭、クリスマスです。和と洋の祝日が奇しくも年末に重なります。
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 日本にキリスト教が伝わったのは天文18(1549)年、「東洋の使徒」フランシスコ・ザビエルの来日によってでした。しかしやがてバテレン追放令が 出され、日本はキリスト教禁教、鎖国へと導かれました。

 250年後の開国で宣教師が再来日し、横浜と長崎に天主堂が建設されます。元治元(1864)年に完成した長崎の天主堂は、列聖したばかりの聖人たちにちなみ、「日本二十六聖人」教会と呼ばれました。現存する最古の天主堂・大浦天主堂です。見物にやってきた浦上の農民たちが「サンタ・マリアの御像はどこ?」とフランス人宣教師に聞きました。潜伏していたキリシタンの「復活」ですが、それは新たな迫害の始まりでした。

 禁教が解かれたのは明治6(1873)年で、さらに16年後、同22年に発布された帝国憲法は信教の自由を明記しました。信徒たちの喜びは一入(ひとしお)で、記念の礼拝が行なわれ、讃美歌の新作計画が立てられている、と当時の新聞は伝えています。

 翌年には長崎で、日本・朝鮮両管区長の宗教会議と浦上の信徒発見25年祭が開かれ、聖体行列が行なわれましたが、警察はいささかの敵意も見せなかったといわれます。

 今日では、明治憲法下の「信教の自由」は条件付きで不完全であり、昭和初期には教会が弾圧と迫害にさらされていた、と指摘する人たちもいますが、当時、迫害どころか、新しい文化を率先して受け入れたのは皇室であり、近代の教会は皇室をはじめ社会的な支援のもとに置かれていました。


▼通じ合う赤十字精神と天皇精神

 たとえば赤十字です。ヨーロッパのキリスト教精神に基づくナイチンゲールの活動やデュナンによる赤十字運動は、日本に完全に受け入れられていますが、その中心にあるのは皇室です。

 日本の赤十字運動は西南戦争時に設立された博愛社に始まりますが、ヨーロッパの赤十字事業を視察していた元老院議官・佐野常民(さの・つねたみ)が大給恒(おぎゅう・ゆずる)らを誘って、博愛社を開設しようとしたのは皇室の御仁慈に啓発され、日本の武士道精神に合致すると考えたからだといわれます。

 事実、明治政府は当初、敵味方の区別なく救護活動を行なうという博愛社の精神を理解しませんでしたが、佐野らは征討総督の立場にあった有栖川宮熾仁(ありすがわのみやたるひと)親王に博愛社の設立を願い出て許可され、明治天皇は特旨をもって金1000円を賜りました。

 設立願書には「この輩のごとき大義を誤り、王師に敵すといえども、また皇国の人民たり。皇家の赤子たり」と記され、佐野の伝記には、敵味方の区別なく救う、という赤十字の精神が一視同仁という天皇精神と通じることが説明されています。

 やがて博愛社は日本赤十字社と改称され、ヨーロッパの王室にならって、皇室が赤十字運動の指導的立場に立たれました。日本赤十字の名誉総裁は皇后さまで、日赤大会は明治神宮の杜で開かれます。明治天皇の皇后・昭憲皇太后の寄付金をもとに創設された昭憲皇太后基金は、100年近く、いまも世界の赤十字活動を支えています。


▼事件を終息させた宮様師団長の一声

 赤十字運動だけではありません。今日、迫害のきっかけとされている昭和7年の上智大学生靖国神社参拝拒否事件は、配属将校の引率で学生たちを靖国神社まで行軍したとき、カトリック信者の学生が参拝しなかったことから、マスコミを巻き込んで大騒動に発展したのですが、事件を知った宮様師団長の「どうなっているのか?」という一声で終息したのでした。

 当時のカトリック新聞を読むと、同じ昭和7年には斎藤実首相が、朝鮮総督時代、教会の布教に貢献した、としてバチカンから未信徒に対する最高の勲章を授与されています。翌年には大浦天主堂が国宝に指定され、祝賀会で来賓の知事は「私個人は洗礼を受けてもいいとさえ思っている」と挨拶しています。

 さらに大正天皇の皇后・貞明皇后は御殿場のハンセン病療養施設にたびたび下賜され、皇族方が開院したばかりの病院を支援されている様子が伝えられています。もちろん皇室と教皇庁との交流もありました。お側に仕える信徒もいました。

 昭和の初年には全国にカトリックの司教区が設けられ、荘厳な聖堂が続々と建てられ、神学校、カトリック学校が開校しています。

 有史以来、漢字や仏教、雅楽など、海外文化受容の中心は皇室でした。同様に、明治以来、皇室はキリスト教の社会事業を深く理解され、経済的、精神的に支援してこられたのです。


 参考文献=「憲法発布式における市中の賑わい」(「時事新報」明治22年2月7日)、『日本赤十字社発達史』(帝国廃兵慰藉会、明治39年)、『熾仁親王行実 巻上』(高松宮蔵版、昭和4年)、本間楽寛『佐野常民傳』(時代社、昭和18年)、ヨハネス・ラウレス『日本カトリック教会史』(中央出版社、昭和331年)、『明治天皇紀4、5、6』(吉川弘文館、昭和45-46年)、丹羽孝三「日本で初めての新聞学科誕生」(『上智大学創立60周年─未来に向かって』所収、上智大学ソフィア会、昭和48年、非売品)など


((((((((読者の声)))))))))))

◇人形町サロン編集長チョンガー公爵様から
http://www.japancm.com/sekitei/

 「誤解だらけの天皇・皇室」を毎回楽しみにしています。わたくしめは会社勤めをする傍ら、某大学で講義のまねごとをしていますが、毎年、最初の講義で学生に話すことは、わが国の天皇・皇室のことです。

 まず、「今のギリシャ大統領の祖先がゼウスだったら驚くだろう」と尋ねると、みな「そうだよね」といった表情をします。その後、「今上陛下のルーツは神話にあり、その後一度も途絶えることなく現在まで脈々と受け継がれています。このような例は世界広しといえどもわが国だけです」と申しますと学生は目を輝かせます。留学生なら尚更です。この一言で学生が天皇・皇室、ひいては政治学に興味を抱いてくれるのです。

 これで掴みはOK牧場です。その後もしばしば天皇・皇室ネタを講義の枕にしていますが、実は、最近のわたくしめは、枕に使うネタを斎藤さんのメルマガに頼っていることが多いのです。というのも、斎藤さんの記事は根拠がしっかりしているので使い勝手が良いのです。何を隠そうわたくしめは斎藤さんの記事を恰も自説の如くしたり顔で話す剽窃講師です。お陰様で何とか面目を保っています<(_ _)>。

 というわけで、女子大生をしてわたくしめに「あなにやし、えをとこを」といわしめるためにも「誤解だらけの天皇・皇室」の今後に期待しております(呵々!)。わが国を代表するメルマガを目指し、奮励努力していただきたく存じます。


((((((((「天皇・皇室の一週間」)))))))))))

12月17日(月曜日)

□天皇陛下はアラブ首長国連邦のアブダビ皇太子と皇居で会見されました(MNS産経ニュース)。
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/071217/imp0712171343000-n1.htm

12月13日(水曜日)

□皇太子殿下は、私的に来日したトンガ国王ジョージ・ツポウ5世と東宮御所で懇談されました(MNS産経ニュース)。
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/071213/imp0712131315000-n1.htm

12月11日(火曜日)

□天皇、皇后両陛下は障害者週間にちなみ、障害者が働く企業を訪問され、社員一人一人に声をかけられました(北国新聞)。
http://www.hokkoku.co.jp/newspack/syakai2007121101000487.html

□宮内庁は、英紙タイムズに掲載された天皇陛下についての記事に対する反論書簡が同紙に掲載されたことを発表しました(MNS産経ニュース)。
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/071212/imp0712120155000-n1.htm

12月10日(月曜日)

□天皇皇后両陛下は来日中のスリランカのラジャパクサ大統領夫妻と皇居・宮殿で会見されました(時事ドットコム)。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007121000633

 読売新聞によると、この日、大統領夫妻はスリランカの植物園で品種改良された「プリンセス・ミチコ」という名前の赤紫色のランを贈りました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071210ic22.htm

12月9日(日曜日)

□皇太子妃殿下が44歳のお誕生日をお迎えになりました(朝日新聞)。
http://www.asahi.com/national/update/1208/TKY200712080222.html

 宮内庁のホームページにご感想とご近影などが掲載されています。
http://www.kunaicho.go.jp/koutaishi/okotobah19-03.html

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