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「皇室の御活動」とは何か? ──「女性宮家」と表現しないヒアリング 4 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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「皇室の御活動」とは何か?
──「女性宮家」と表現しないヒアリング 4
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋です。一部に加筆修正があります。


第2章 有識者ヒアリングおよび「論点整理」を読む

第1節 「女性宮家」と表現しないヒアリング──皇籍離脱後も「御活動」は可能なのに


▽4 「皇室の御活動」とは何か?
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 そもそも「女性宮家」創設論の起点とされている「皇室の御活動」とは、具体的に何をさすのでしょうか?

 憲法には、内閣総理大臣の任命、国会の召集など、天皇の国事行為に関する規定があり、内閣の助言と承認により行われていますが、あくまで天皇の行為であって、憲法には「皇室の御活動」についての規定はありません。

 国事行為に関連して、宮内庁が説明するように、天皇は国会の開会式に御臨席になり、宮殿で行われる首相や最高裁長官の親任式や外国大使の信任状捧呈式などに臨まれます。このほか、天皇の公的行為として、拝謁、ご会見、茶会、午餐、晩餐などが行われていますが、これらの御公務はとくに定められた明文があるわけではありません〈http://www.kunaicho.go.jp/activity/activity/01/activity01.html〉。

 まして、皇室典範を緊急に改正し、女性皇族の皇籍離脱(臣籍降嫁)を阻んでまでして維持しなければならない、皇族方による「皇室の御活動」とは、具体的にいったい何をさすのでしょうか?

 宮内庁のHP〈http://www.kunaicho.go.jp/activity/activity/activity.html〉によると、たとえば常陸宮(ひたちのみや)正仁親王殿下は、日本鳥類保護連盟、日本肢体不自由児協会、発明協会など数々の団体の総裁や名誉総裁をお務めで、妃殿下とともに、全国健康福祉祭や全国少年少女発明クラブ創作展などに御臨席になっています。

 また寛仁(ともひと)親王殿下はご生前、友愛十字会、ありのまま舎、恩賜財団済生会、高松宮妃癌研究基金などの総裁などをお務めで、障害者福祉、スポーツ振興などの面で幅広い活動をなさっていました。

 こうしたご活動が象徴天皇制度の維持のためには不可欠で、そのため緊急に皇室典範を改正する必要がある、と政府は本気で考えているんでしょうか?

 そもそも天皇・皇族が社会的に活動されることによって天皇の制度が維持されるという考え方は、ヨーロッパ王室風の、すぐれて近代的な発想ではあり、日本の天皇の制度は本来、「行動する」天皇によって維持されてきたのではありません。

 宮中祭祀が明治の創作であると断言し、批判する研究者がいますが、「行動する」天皇論こそ、明治期の創作、ヨーロッパ王制のコピーです。

 天皇・皇族方が全国津々浦々をくまなく行幸・行啓されるようになったのは、近代の現象です。

 しかも、です。2020年のオリンピック・パラリンピック大会は東京で開催されることになりましたが、日本オリンピック委員会の竹田恒和会長は旧皇族・竹田宮恒徳王の三男です。今上陛下の第一皇女である黒田清子(さやこ)元内親王は、伊勢神宮の臨時祭主に就任され、式年遷宮の諸行事をお務めになりました。

 前にも申し上げましたように、皇籍を離脱されたあとでも、社会的なご活動は可能なはずで、本来、皇位継承に関する法律である皇室典範を改正する必要はありませんし、すべきでもありません。

 ところが、ヒアリングを実施する主催者は、その名も「内閣官房皇室典範改正準備室」で、皇室典範改正をずばり掲げていたのでした。

 これに対して、世の有識者の方々はどのような議論を展開したのでしょうか?


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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