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戦後史のダイナミズムがない ──「1.5代」象徴天皇制度下の創設論 5 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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戦後史のダイナミズムがない
──「1.5代」象徴天皇制度下の創設論 5
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 やむにやまれぬ思いから、たった1人で、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンをネット上で始めました。皆様のご協力を切にお願いします。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

 さて、以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋です。一部に加筆修正があります。


第2章 有識者ヒアリングおよび「論点整理」を読む

第3節 「1.5代」象徴天皇制度下の創設論──戦後行政史を追究しない百地章日大教授の反対論


▽5 戦後史のダイナミズムがない
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 やがて平和条約の発効で日本は独立を回復し、神道指令も失効しました。けれども天皇の祭祀の法的位置づけは確定されませんでした。

 それでも、34年4月の皇太子(今上天皇)御成婚で、賢所での神式儀礼を含む御結婚の儀が「国の儀式」(マスコミ報道では「国事」)と閣議決定され、国会議員が参列しました。

 こうして宮中祭祀はすべて「皇室の私事」とした神道指令下の解釈が打破されたのです(注。皇太子殿下の御結婚の儀を「国の儀式」として行うことを決めた公文書を、この本の補章に再現してあります)。

 百地先生が解説するように、

「政府が否定的態度をとり続けてきた」

 のなら、貞明皇后の御大喪が伝統に準じて挙行されることも、今上陛下の御結婚の儀が「国事」として行われることもなかったでしょう。

 もっとも百地先生は、

「政府は大嘗祭と皇室祭祀一般とを区別し、大嘗祭については『皇室の私事』といった云い方を意識的に避けてきたように思われる」

 と大嘗祭と皇室祭祀一般との扱いの相違を指摘しています。

 百地先生によると、

「政府は皇室祭祀一般については『皇室の私事』であることを明言したことがあるが、大嘗祭についてはあくまで『皇室の行事』というにとどまり、『皇室の私事』といった云い方はしてこなかった」。
 大嘗祭は、古くは新嘗祭と区別されず、天武天皇以降、皇位継承儀礼のひとつとして確立された。明治憲法下でも新嘗祭が皇室祭祀令にいう祭祀(大祭)に含められたのに対して、大嘗祭は皇位継承に関わる登極令に定められ、「国事」と位置づけられた。
 このような事情から、政府は現憲法下でも、大嘗祭については皇位継承に伴う伝統儀礼であって公的性格が強いものと考え、あえて『皇室の私事』とはせず、『皇室の行事』と答弁してきたのではないか」

──と解説されています。

 要するに、百地先生は政府の憲法解釈の歴史を静的に見ています。戦後史のダイナミズムに目を向けてはおられないようです。そこに重大な欠陥があるのではないでしょうか?


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります

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