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昭和50年8月15日の長官室会議 ──「1.5代」象徴天皇制度下の創設論 6 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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昭和50年8月15日の長官室会議
──「1.5代」象徴天皇制度下の創設論 6
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 さて、以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋です。一部に加筆修正があります。


第2章 有識者ヒアリングおよび「論点整理」を読む

第3節 「1.5代」象徴天皇制度下の創設論──戦後行政史を追究しない百地章日大教授の反対論


▽6 昭和50年8月15日の長官室会議
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 百地先生の研究に欠落している最たるものは、昭和22年5月3日の宮内府長官官房文書課長名による依命通牒が、50年8月15日の宮内庁長官室会議で「廃棄」されたことによる宮中祭祀の歴史の一大転換です。

 44年4月3日の参院建設委員会で、瓜生順良宮内庁次長は、

「宮中三殿の建物も国有財産にすることは可能である」

 という内閣法制局の「解釈」を示しました。こうして天皇の祭祀を「私事」に押し込めてきた神道指令以来の法解釈は改善されたのですが、逆にこのころを境に、揺り戻しが始まりました。

 宮内庁職員の世代交代が起こり、職員の意識が様変わりし、そして宮中祭祀の改変がおきたのです。昭和天皇の祭祀に携わった元宮内庁掌典補は次のように証言します。

「戦前の宮内省時代からの生え抜き職員たちが定年退職し始め、代わって戦後教育を受けた人たちが入庁するようになったからです。幹部職員には元華族の方などもおられましたが、外務省、厚生省、自治省、警察庁など、ほかの官庁から横滑りするようになり、皇室に対する考え方が変わり始めました」

「憲法が定める信教の自由を掲げ、『なぜ祭祀に、公務員が関わらなければならないのか』という意見が口々に出て、祭祀が敬遠されるようになったのです。
 戦後世代の職員たちは『陛下にお仕えする』というよりも、『国家公務員である』という考え方が先に立ちました。皇室の歴史と伝統についての理解は乏しく、逆に、『国はいかなる宗教的活動もしてはならない』という憲法の政教分離規定を、字義通り厳しく解釈・運用する考え方が、まるで新興宗教と見まがうほどに蔓延(まんえん)し、陛下の側近中の側近である侍従さんまでが祭祀から遠のき始めました」
(「文藝春秋」24年2月号掲載の永田忠興元掌典補インタビュー「左遷された『昭和天皇の忠臣』」。聞き手は私です)

 はじめは入江相政侍従長による祭祀の簡略化でした。入江氏は、昭和天皇のご健康問題を口実に、43年には毎月1日の旬祭(しゅんさい)の親拝を年2回に削減し、45年には新嘗祭の「簡素化」(入江日記)に取りかかりました。皇室第一の重儀といわれる新嘗祭は夕(よい)の儀と暁の儀の2回、繰り返されますが、入江日記によると、同年は夕の儀のみが親祭で、暁の儀は掌典長が祭典を行ったようです。

 膨大な日記に宮中祭祀の神聖さを何ら記録しなかった「俗物」侍従長が執念を燃やした祭祀の形骸化は、富田朝彦内閣調査室長が宮内庁次長に転身し、長官に昇格するころ、舞台を「オモテ」に移し、激化します。「富田メモ」で知られる富田長官は無神論者を自認していた、と元掌典補は述べています。

 大きなうねりのようなものが宮内庁を含む行政全体を襲い、そして昭和50年8月15日、宮内庁長官室の会議で、祭祀の伝統の破壊が決められました。宇佐美毅長官、富田次長の時代、政教分離の厳格主義が主流になった結果でした。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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