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枯れ尾花を見させられていた ──百地先生にとって「国家神道」とは何だったのか? 6 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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枯れ尾花を見させられていた
──百地先生にとって「国家神道」とは何だったのか? 6
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 拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第4章 百地章日大教授の拙文批判に答える

第3節 百地先生にとって「国家神道」とは何だったのか?


▽6 枯れ尾花を見させられていた

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 大航海時代、キリストの教えと、ローマ教皇の勅書に基づいて、荒々しい世界宣教が行われ、異教世界への侵略・殺戮・破壊が行われ、植民地主義が世界を覆ったことは、よく知られています。

 唯一神である天照大神の子孫にして、絶対的権力者である天皇のもとで、軍事力を伴い、世界中に「神道」を教え広めるとすれば、キリスト教文明と完全に対立します。「人類普遍の原理」をめぐって、世界戦争は必定です。

 それがアメリカ人にとっての「国家神道」だったのでしょう。彼らは鏡に映る自分を見ていたのです。

 ポツダム宣言には、「軍国主義」が世界から駆逐されるべきことが主張されています。「軍国主義者」が日本国民を欺き、世界征服の野望を推し進めたという理解です。アメリカ国務省が「神道の廃止」を戦略政策に掲げ、占領軍が

「神道、神社は撲滅せよ」

 と叫び、靖国神社の「焼却」が噂されたのはその結果でしょう。

 けれども、それは、そう思わせるように、思われても仕方がないように、日本人が仕向けたからです。

 明治維新以来、キリスト教世界に学び、追いつき、追い越すことが日本の近代化でした。その先兵となったのが、官僚たちであり、教育者であり、軍人であり、知識人であり、新聞人です。欧米留学の経歴を持ち、キリスト教文化を学んだ度合いが、有能さの尺度とされています。それが日本の近代です。

 行き過ぎた欧化主義を是正する目的で起草されたといわれる教育勅語について、解説書を書くことを求められたのが、ヨーロッパ哲学の紹介者として知られる井上哲次郎東京帝国大学教授(哲学)だったのは何という皮肉でしょう。そして井上はまるでキリスト教の亜流のような解説を加えたのです。

 昭和21年2月、CIE部長のダイク准将と安倍能成文相とが会談し、教育勅語に言及しています(『神谷美恵子・エッセイ集1』1977年。神谷は前田多門文相の長女、精神科医で、2人の会談で通訳を務めました。このころ明治の教育勅語に代わる新しい教育勅語の発布が構想されていたようです)。

安倍「新しい教育勅語とはどういうことをお考えなのか」

ダイク「明治大帝の教育勅語は偉大な文書だが、軍国主義者たちが誤用した。また誤用されうるような点がある。たとえば『これを中外に施してもとらず』という句のように、日本の影響を世界に及ぼすというような箇所をもって、神道を世界に宣伝するというふうに誤り伝えた」

安倍「仰せの『これを中外に施してもとらず』は、真意はけっしてそのようなものではないし……」

 彼らは、日本の伝統主義に議せられた、ヨーロッパ近代という枯れ尾花を見させられていたのです。

 昭和天皇は「現人神」とされることを嫌っておられたようです。天皇は祭り主であって、祭られる神ではないとすれば、うなずけます。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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