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幻を見続ける日本人 ──百地先生にとって「国家神道」とは何だったのか? 7 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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幻を見続ける日本人
──百地先生にとって「国家神道」とは何だったのか? 7
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 拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第4章 百地章日大教授の拙文批判に答える

第3節 百地先生にとって「国家神道」とは何だったのか?


▽7 幻を見続ける日本人
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 安倍能成との会談から遡ること、5か月前の昭和20年9月、ダイク准将は靖国神社にいました。従来の形式で行われた臨時大招魂祭に参列したのですが、じつに驚くべきことに、

「たいへん荘厳でよかった」

 と大感激したと伝えられています。神社の職員が一兵卒として応召したことも分かりました(小林健三、照沼好文『招魂社成立史の研究』)。靖国神社は「国家神道」の中心施設ではなかったのです。

 やがて占領軍自身の神道研究が進み、「国家神道」の虚像は音を立てて崩れ、「神道の廃止」は撤回され、であればこそ神道指令の解釈もまたたく間に一変したのでしょう。昭和24年には松平恆雄参議院議長の参議院葬が議長公邸で、神道形式で行われました。吉田茂首相の靖国参拝も認められ、朝日新聞は「公の資格で参拝」と伝えています。

 日本の神道は元来、血縁共同体や地域共同体の信仰であり、布教の概念すらありません。したがって宣教師もいません。実際、明治15年以降、神社の神職は祭祀のみをすることとされ、布教を禁じられ、葬儀を奉仕することさえ禁止されたのでした。

 今日、強権的植民地支配のシンボルとされている朝鮮神宮は、もともとは神社人によって、日韓宥和のため、「朝鮮民族の祖神を祀れ」と創建が提案されたのです。

 靖国神社などで、戦死者に捧げられる、無宗教的な国民儀礼としての「1分間の黙祷」は戦時体制下、陸軍によって推進されましたが、キリスト教文化の影響を受けたものでしたから、昭和15年ごろには「廃止」が検討されたことさえあります。

 占領中の宗教政策を担当したGHQ職員のW・P・ウッダードは、黙祷について、こう解説しています。

「黙祷という語は仏教や神道のものではない。明治以前には使われていなかった。関東大震災の記念日に関連して行われ、戦中は種々の場合に行われた」(ウッダード「宗教と教育──占領軍の政策と処置批判」=国際宗教研究所紀要4所収)

 結局のところ、占領軍は、神道指令の解釈をなぜ変更したのか、なぜ「国家神道」という虚像に魂を奪われたのか、を明らかにはしませんでした。当然でしょう、中立法を侵して参戦し、数十万のアメリカ国民が犠牲となり、無慈悲な原爆投下まで敢行したのは、枯れ尾花を見た結果だとは、口が裂けても言えません。

 ところが、日本には戦後70年にしてなお、愚かというべきか、枯れ尾花の幻を見続ける人たちがいます。それが「1.5代」象徴天皇論者であり、彼らこそが「女性宮家」創設のタクトを振るい、合唱しているのです。

 アメリカ人のスクリーンからは消えて久しいはずの「国家神道」の幻影が、世界に冠たる、有能な日本の官僚たちの脳裏には、いまも鮮明に生き続けています。キリスト教文化を学べば学ぶほど、幻影は鮮明さを増していきます。

 外務官僚出身の前侍従長が皇室の伝統である祭祀を一顧だにせず、歴史にない「女性宮家」創設を熱心に謳い上げているのは、道理です。

 ヨーロッパに学び、近代化した日本人は日本の伝統を否定し、アメリカナイズした現代の日本人は文明の根幹に関わる皇室の伝統を破壊し続けています。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


☆ひきつづき「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンへのご協力をお願いいたします。このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を求めます。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

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